幹細胞発生学研究室

私たちの研究室では、ゼブラフィッシュという小型の熱帯魚を使って造血幹細胞や再生医療に関する研究を行っています。

 

魚類腎臓における造血幹細胞ニッチの同定と機能解析

私たちの体を流れる血液細胞は全て造血幹細胞という一種類の細胞に由来し、造血幹細胞が分化・増殖することによって、血液細胞が生涯にわたって供給され続けています。造血幹細胞のこのような特殊な能力は骨髄移植という形で白血病などの様々な血液疾患に対する治療に応用されています。造血幹細胞がその能力を発揮するためには、”造血幹細胞ニッチ”と呼ばれる造血幹細胞を取り巻く微小環境が不可欠です。ヒトを含む哺乳動物では、造血幹細胞は骨の内部の骨髄に存在し、造血幹細胞ニッチが骨髄中に形成されています。一方、ゼブラフィッシュなどの魚類は、哺乳動物とほぼ同じ血液細胞を造るにもかかわらず、造血幹細胞は尿を産生する器官である腎臓に存在しており、腎臓の間質において様々な種類の造血細胞が認められます。私たちの研究室では、魚類の腎臓にヒントを得て、造血幹細胞ニッチを哺乳動物と魚類で比較解析しながら、造血幹細胞の分化や増殖に関わる普遍的な性質を解明する研究に取り組んでいます(図1)。

図1

ゼブラフィッシュ胚を用いた造血幹細胞の発生機構の解明

近年樹立された人工多能性幹細胞(iPS細胞)は生体のほぼ全ての細胞へ分化可能な万能細胞であり、今後の再生医療への応用が期待されています。iPS細胞は、まだ分化の方向性が決まっていない初期胚の細胞と類似した特徴を持っているため、iPS細胞から造血幹細胞を造り出すには、造血幹細胞の発生機構を理解し、それを生体外で再現する必要があります。ゼブラフィッシュは造血幹細胞の発生過程を解明するためのモデル生物として非常に適しています。ゼブラフィッシュは体外発生を行い、胚が透明であるため、特定の細胞を蛍光タンパク質で標識することによって、その細胞の動態を生きたままリアルタイムに追跡することができます。私たちの研究室では、このような”ライブイメージング”による解析を取り入れることによって、造血幹細胞の発生動態を追跡し、いつ、どこで、どのような組織・細胞と関わっているのかを解明することを目指しています(動画へのリンク)

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