能登海洋水産センター 水圏増養殖学研究室

能登発!次世代養殖を世界へ

現在、持続可能なレベルで漁獲されている海洋水産資源の割合は漸減傾向にあります。減少の一途をたどる海洋水産資源ですが、国連によると世界人口は2030年までに80億人を突破し、アジア圏は世界全体の海洋水産資源の7割を消費するようになると推測しています。そこで、喫緊の課題である水産物需要の増加に応えるため、養殖業が着目されています。養殖業は世界の食糧安全保障と経済成長に大きく寄与すると期待されています。

我が国の漁業・養殖業生産量は、1972年から1987年まで世界第1位でした。しかし、現在は世界第7位。残念ながら、我が国で現在以上の漁業生産量の向上は、漁業規制や海洋水産資源の状況などを考慮すると不可能です。また、島国かつ狭い国土であることや餌原料を諸外国からの輸入に依存していることを考えると、養殖生産量の顕著な増加はないと思われます。しかし、水産先進国であった我が国には、先人がこれまで培った技術や経験があります。養殖業者の孫である私は、現在、それらに革新的なアイデアを加え、現場のニーズに応えられるジャパンブランドの持続可能な漁業・養殖業システムを模索しています。

金沢大学理工学域能登海洋水産センターが位置する石川県能登町は、石川県漁業協同組合、能登海洋深層水施設、能登町農林水産課そして石川県水産総合センターがある水産都市です。金沢大学理工学域能登海洋水産センターは、眼下に能登半島国定公園及び海域公園である九十九湾を臨む絶好のロケーションに、金沢大学と能登町が連携し、整備しました。九十九湾沖は、暖流の対馬海流と寒流のリマン海流が交わります。そのため、温帯水域と寒冷水域に生息する魚が共存します。また、近隣の能登海洋深層水施設では、日本海の水深300m以深に存在する水温0から1℃、塩分34.1程度の日本海固有水を毎日汲み上げています。さらに、能登海洋水産センターには淡水井戸もあり、淡水魚と海水魚を飼育することができます。このように、能登海洋水産センターは国内屈指の水産研究施設です。

現在、私は能登海洋水産センターにて、魚類を中心に、甲殻類や貝類など様々な水産資源を環境に負荷なく飼育・殖やす研究を行っています。これまで、ウナギ、深海性高級魚キチジやトラフグなどの海水魚、サケマス類やシシャモなどの淡水魚を殖やしました。これからは、能登海洋水産センターを基点とし、北海道から沖縄までの、ひいてハンガリー、ニュージーランド、アメリカそしてタイなど世界各国で、冷水魚や熱帯魚などを用いて研究を行います。研究材料は、基本、釣りや網など自身の手で採集することから始まります。採集した魚を飼育し、それらを殖やし、新しい生命現象を観察していきます。世界農業遺産 石川県能登半島 能登町で、私達と一緒に、研究してみませんか。当研究室に興味のある受験生(学部生・院生)、企業・一般の方のご連絡お待ちしております。

写真1:金沢大学理工学域能登海洋水産センター前の九十九湾にて。釣場として有名です。九十九湾から次世代の養殖を世界に発信します。

写真2:北海道の凍った海水湖でコマイ採集。コマイは不凍タンパクが存在し、厳冬期に産卵することができる不思議な魚。魚を傷つけないように釣りで採集します。

写真3:石川県志賀町にある石川県漁協西海支所の海面生簀。西海サーモン(ニジマス)とマサバを畜養しています。これから共同研究をする予定です。

写真4:キチジは、通称キンキと呼ばれる高級魚です。深海に生息するキチジの生態はほとんどわかっていません。その生殖に関する研究を行っています。

movie1(クリックすると別画面で動画がご覧になれます)

動画1:キチジ仔魚の遊泳。生きた深海魚は滅多に見ることが出来ません。キチジの生活史を実験室で再現することを試みています。

写真5:石川県はフグの漁獲量が日本一。そして、トラフグの産卵場所が県内では七尾湾にあります。トラフグは全ゲノム解読されているため、実験計画をたてやすい魚です。

動画2:魚を殖やすためには、受精を理解することからはじまります。これは、トラフグの精子が卵門(卵にある精子が入る穴)に入るところ(受精)の瞬間をとらえたものです。

写真6:生命現象を理解するためにトラフグのゲノム編集個体を作成しています。 これらはあくまでも実験のためで、養殖には用いません。

写真7:台所にある食材が、トラフグにとって薬となります。それらを薬として用い、餌には漁師さんからいただいた魚のあらなどを使い、養殖しました。薬を使わないオーガニックフグが完成しつつあります。

写真8:トラフグより先に完成したオーガニックタイとオーガニックヒラメ。病気にならず、薬を使わずに育成できました。学生さんと美味しくいただきました。

 

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